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医師・専門家からのアドバイス

医師が語る、本当にあった怖いミノキシジル体験談とは

書籍「最強!の毛髪再生医療」の表紙

価格が安い製品を自由に選べることもあり、育毛薬を個人輸入する人も少なくありません。しかし、それは危険と隣り合わせです。今回は、書籍「最強!の毛髪再生医療 - 豊かな髪と再び出会える本」より、皮膚科医の先生が語るミノキシジルの体験談についての記述を抜粋して紹介します。

ミノキシジル服用による恐怖体験

 この方はミノキシジル内服薬を海外から個人輸入したそうです。髪は細いサラサラヘアでヒゲや体毛も薄いタイプなのですが、飲んで1カ月程で明らかに毛髪は太く腰が強くなり、ヒゲも体毛も濃くなりました。本人いわく「剛毛」になったそうです。

「これはすごい!」と思い、内服薬を砕いて粉にしてお湯に溶いて頭に付けたら、さらに効果があったそうです。その後ドンドン発毛しましたが、一方でのぼせやむくみ、動悸で悩まされるようになり、ついにはひどい頭痛と動悸で眠れなくなり、命の危険を感じてやめたそうです。やめたら髪は元の薄毛に戻りますから、私のところに(当時、最新医療だった)ハーグ療法を受けにいらしたというわけです。

 ミノキシジルは量が多いほど発毛効果が増しますが、副作用も増します。ハーグ療法単独よりミノキシジル内服と併用したほうが発毛効果は上がりますから、当院ではさらに効果を高めたい方には、副作用の最も低い2·5㎎のミノキシジル内服を施術期間中、お分けするキャンペーンをすることがあります。しかし、この方は「無料でも二度と飲みたくない」とおっしゃいましたから、よほど懲りたのだと思います。

 個人海外輸入品だと実物がどんなものか、どの程度の量なのかもわかりません。ミノキシジルを内服したい場合は、やはり医師が正規の機関から輸入した物を管理してもらいながらに服用したほうがいいでしょう。発毛効果を追い求めるあまり、多量に飲むのも厳禁です。

 また、海外製のフィナステリドをネット購入した男性が、髪は生えたが、胸も膨らんできたという話が週刊誌に書いてありました(女性化乳房、男性ホルモンを強く抑え過ぎたため生じたと推測されます)。ミノキシジルもフィナステリドも副作用のあるものですから、少なくとも成分がわかっている医師の処方薬にするべきだと思います。

ミノキシジルはなぜ怖いのか?

 ミノキシジルはもともと降圧剤ですが、発毛効果がある降圧剤はミノキシジルだけです。それはいったいなぜだと思いますか?

 実はミノキシジルには強力な動脈血管拡張作用があり、それにより末端の毛母細胞までたくさんの血流が供給されることから、発毛の効果があるのです。

 ただ困ったことに、ミノキシジルには動脈血管拡張作用はあっても、静脈血管拡張作用はありません。どういうことか。そもそも、心臓から血が動脈で体内に送られ、静脈を通って帰ってきています。ミノキシジルを服用すると、拡張した動脈に大量に流れた血は拡張されていない静脈から帰ってくるので、心臓に強い負荷が掛かったり、心拍出量の増加や不整脈、動悸などが生じる可能性があるわけです。

 もしミノキシジルが優れた降圧剤であれば、降圧剤としても内科で使われているはずですが、実は今は使われていません。それは心臓に負担が掛かるという副作用があるからです。動脈血管拡張作用はミノキシジルの量が多いほど強くなるので、発毛効果は上がりますが、副作用も強くなります。血圧を下げるには大容量が必要となり、心臓にも多大な負担が掛かるため内科で使用することはなくなりましたが、当院では主に一番低容量の2·5㎎を処方しています。

 このミノキシジル、内服するほうが塗布するよりはるかに効果があります。また、増毛してきた芸能人の多くの方が飲んでいると聞きます。ただし、日本皮膚科学会ではミノキシジル内服を推奨しておりません。再三述べているように副作用があるからです(危険なので何回でも書きます)。

 実はミノキシジル内服薬は、皮膚科医師の間ではまだほとんど認知されていません。ミノキシジル配合の塗り薬は厚生労働省の承認を受けて販売され、皮膚科医師にも認知されていますが、ミノキシジルを内服するのは、欧米と違って日本では承認が下りていません。

 ほとんどの皮膚科医がためらい、ミノキシジルを処方していない中、美容外科では早くからミノキシジル内服薬が処方されていました。なぜなら、副作用を無視すれば、ミノキシジルは塗るより飲んだほうが明らかに効くし、フィナステリド(プロペシア)より効くからです。

 今、美容外科を中心に発毛特効薬として処方されているのがミノキシジル内服薬です。たしかに効果がありますので、今とにかく薄毛を改善したい方にはありがたい薬です。

 実は、私も発毛にミノキシジル内服薬を使うのは危険と判断して見送っていたのですが、美容外科でたくさん症例が増えて、低容量であれば副作用があまり生じないことがわかってきたため、処方に踏み切ったのです。私は極力少ない量で済むよう、発毛効果のある漢方生薬などを独自に組み合わせ、相乗効果を持たせながら低容量で処方しています。現在、ミノキシジルを他院で内服している方は、何㎎か知っておく必要があるでしょう。

 また、いくら低容量とはいえ、心臓に徐々に負担を掛けていく薬なので可能ならやめていきたい薬ではあります。ミノキシジルで発毛したなら、維持のためにミノキシジルを続けるのではなく、長期間内服しても体に安全なほかの薬に移行できるよう、私は今も研究を続けています。

ミノキシジルとフィナステリドの併用は?

 私も当初は「ミノキシジル内服は副作用を考えるといかがなものか」と思っておりました。しかし、薄毛の悩み、苦しみは本人にしかわからない深刻なものである場合が少なくないので、なんとか力になるために処方を決断したのです。

 私の知り合いの医師も、「少々副作用があっても飲みたい」と言って飲んでいます。特にミノキシジル内服は、ハーグ療法と併用するとかなりの発毛効果があります。

 ミノキシジルは10㎎、5㎎、2·5㎎があり、大容量ほど効果は高いのですが副作用も強いので、私の医院では漢方生薬やビタミン剤を独自配合し、相乗効果を高めることにより、2·5㎎でも発毛効果を得られるようにしています。さらに血圧降下、動悸、むくみなどの副作用もチェックしながら注意深く処方するようにしています。

 このように我々皮膚科医が唯一効果を認めているミノキシジルですが、頭皮に注射をすれば塗布するより効果があります。ですから注射製剤も実は存在します。

 有効であれば当然、注射製剤もつくられるわけですが、さまざまな育毛剤に配合されているミノキシジル以外の有効成分と言われているものには注射製剤はありません。

 ただし、ミノキシジルはもともと血圧の薬なので、副作用を出さない量の調整が難しく、今やハーグカクテルや機能性ペプチド(ヘアフィラーの成分)など、副作用がなく効果の高い製剤がありますので、あえてミノキシジルを注射する皮膚科医はいないと思います。

 今のところ漢方生薬やビタミン剤を併用して、できるだけ低容量のミノキシジルを内服するのが、今までの私の中ではベスト発毛内服薬です。

 それでも、やはりミノキシジルの長期間の内服はやめるべきだと思っています。もし漢方生薬やビタミン剤など、体に無害どころか、むしろ体を健康にする内服薬だけで発毛できたら……それは朗報になることでしょう。

 私はそれを目標に情報収集や研究をしてきたわけですが、実現できそうな段階まで来ています。今その処方を自分で試していますが、手応えを感じています。

 さて、皮膚科の多くでフィナステリドの処方はしていますが、発毛専門外来も行っている施設では、より効果の高いミノキシジル内服薬を処方していると思われます。

 ミノキシジルやフィナステリドは薄毛治療の長く暗いトンネルからやっと抜け出す画期的薬でしたが、特に効果のあるミノキシジルには副作用もあり、また両者とも内服中のみ効果を発揮するという欠点があります。

 ミノキシジルをやめたら血流は元に戻りますし(降圧剤をやめたら血圧が上がるのと同じ理屈です)、フィナステリドをやめたらDHTはまた活発に働き始めるからです。

 とはいえ、内服していれば、それまでは打つ手のなかった薄毛の悩みから解放されるのは画期的だとも思います。

 血流増強作用のあるミノキシジルと、毛髪を攻撃するDHTの働きを抑制するフィナステリドを併用すると、その相乗効果から現時点では最も効果的発毛治療薬と言えます。

 一般的な皮膚科ではフィナステリドのみ取り扱っている場合が多いのですが、発毛専門クリニックではフィナステリドとミノキシジル、さらに効果があると言われているミネラルやビタミンを医院独自に加えています。

 当院では、毛母細胞活性化作用のある葉酸、毛髪主成分ケラチン合成作用のある亜鉛、ケラチン代謝促進作用のあるパントテン酸Ca、ビタミン1·2·6·12·C·Eを配合していましたが、私の長年の経験に基づき、血流増強作用、滋養強壮作用のある漢方生薬を配合したところ、さらに高い効果が認められました。体に優しい成分を組み合わせて相乗効果で発毛させ、なるべく低容量のミノキシジルを使うよう努力しています。

 私はもともと難治性皮膚疾患を治すために、漢方治療を勉強してきたのですが、まさかその知識が発毛治療薬やシャンプーに生かされるとは露ほど思っていませんでした。人生では何が幸いするかわからないものです。

内服薬で発毛しているとしたらミノキシジル!

 私の患者さんで何人か民間の発毛サロンの施術を受けながら、内服薬の個人輸入の仕方を教えられたという方がいます。そのパンフレットを見せてもらいましたが、内服薬とはミノキシジルでした。ミノキシジルを内服すれば、当然効果が出ます。

 日本では厚生労働省の認可が下りておらず、認可の下りている米国などから輸入するしかありません。国内未承認薬を良識ある日本の医師が取り扱わないのも頷けます。

 一方で、どこでも手に入らないのをいいことに、かなりの高額で処方している医師もいます。自分も皮膚科医として迷いましたが、大半の皮膚科で処方されているフィナステリドと比べ明らかに効果が高く、特に男性はフィナステリドと併用すると高い効果があることはわかっています。

 また、フィナステリドは男性のみしか内服できないのに対し、ミノキシジルは女性にも可能で、薄毛の悩みは想像以上に深刻な場合があることなどを考慮した結果、導入に踏み切りました。

 ただし、医師が輸入して副作用が起きないように管理し適切な量を処方していればいいのですが、なぜかわかりませんが、ミノキシジルは個人輸入できてしまうようです。これはほかの薬も同じですが、「何かあった時は個人の責任」ということで野放し状態になっています。

 個人輸入が簡単にできるようになったのはインターネットの登場が大きいですわけが、どの薬までを良しとするかなど法整備が追いつかず、雨後のタケノコのようにたくさんの薬がネット販売されているので、取り締まりが難しいのでしょうか。

 ミノキシジルを個人輸入して、本人いわく「死ぬ思い」をしたという前述の方は、まだ若い男性だから良かったものの、安易にミノキシジルを飲むと命に関わる可能性もあります。本人の自覚はなくても長期間内服することにより、ゆっくり心臓や腎臓が蝕(むしば)まれて行く可能性は否定できません。

 やはり医師の管理の下、血圧測定や血液検査をしながら内服するべき薬です。医師はしかるべき筋から手に入れますが、個人輸入サイトの中には副作用のことをしっかり述べていないものもあること、怪しい薬も絶対ないとは言い切れないことなどを考えると、この薬は個人輸入して安易に飲む薬ではないと思います。

ヨムトニック編集部からヒトコト!

いかがでしたでしょうか。たとえクリニックで処方されている薬であっても、医師によって意見が分かれるものなのですね。

個人輸入するのは悪、と完全に断言することはできませんが、薬を扱うときは、可能な限り医師の診断を仰ぐ方がよさそうです。

本書、「最強!の毛髪再生医療 - 豊かな髪と再び出会える本」では、こういった育毛に関するトピックが豊富にまとめられています。薄毛に悩まれているようなら、ぜひ購入して全編をチェックしてみてくださいね。

この記事で引用した書籍の著者
荒浪暁彦

[経歴]

  • 皮膚科医・漢方医・美容皮膚科医
  • 日本皮膚科学会認定専門医
  • 慶應義塾大学漢方医学センター非常勤講師
  • 浜松医科大学漢方医学講座非常勤講師
  • 日本医療毛髪再生研究会所属
  • 日本抗加齢美容医療学会員

静岡と千葉に美容クリニックを展開。西洋医療と漢方を用いた東洋医療をミックスし、他院にないユニークな治療を実践している。漢方を用いた皮膚病治療を広めるため、日本各地で医師向けの講演会を実施するほか、美容関連書籍も執筆するなど、精力的に活動している。

公式サイト:http://www.bihada-clinic.com

著書

書籍「最強!の毛髪再生医療」の表紙

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