活性酸素は薄毛を引き起こすのか?

活性酸素による身体の酸化は美容や健康の大敵とされ、これまでさまざまな抗酸化ノウハウが生み出されてきました。この活性酸素、薄毛には一見関係のないことのように思えてしまいますが、じつは髪にも悪影響を与えてしまうのです。今回は書籍「55歳のハゲた私が76歳でフサフサになった理由」より、活性酸素によって薄毛になってしまう仕組みを抜粋してご紹介します。
頭皮がさびれば、髪は生えない
体を老化させ、薄毛を進行させるもう一つのキーワードは「活性酸素」です。
健康情報に詳しい人ならば、たびたび目にしたことのある言葉でしょう。
この活性酸素の働きをいかに抑え込むかが、老化のスピードをコントロールするカギの一つとされています。
老化とは、体のさびともいわれます。私たちの体も、鉄やリンゴなどと同じく酸化すれば劣化するのです。
「髪が薄くなった」「白髪が増えた」「物忘れが多い」「肌のシミやシワが増えた」「視力が弱くなった」など、歳をとると体の衰えを感じることが多くなります。
そうした老化現象こそが、さびつきのサインです。
なぜ、人の体がさびるのでしょうか。
私たちは呼吸によって、1日500リットル以上の酸素を体内にとり込んでいます。
酸素を使って食事でとった栄養素を燃やし、エネルギーをつくり出しています。問題となるのは、その過程で吸い込んだ酸素の約2%が、活性酸素にかわってしまうことです。
活性酸素は、酸素よりもはるかに強い酸化力を持ちます。酸化とは、ご存じのとおりさびることです。活性酸素の酸化力とは、ふれたものをたちまち酸化させてしまうほど強いものです。
そんなに危険なものをなぜ、私たちの体はつくり出すのでしょうか。
もともと活性酸素には、強い攻撃力で体内に侵入したウイルスや細菌などの外敵を退治するという役目があるのです。活用されなかった活性酸素は害となりますから、体にはそれを無毒化する機能も備わっています。
ところが、その身体機能を上回って活性酸素が発生してしまうとどうなるでしょうか。健康な細胞まで酸化してしまい、老化や病気のもとをつくり出します。
現代人は、活性酸素を過剰に発生させやすい社会に生きています。
活性酸素は、「敵」とみなされる異物が体内に入ってくると、それを退治するために発生することはお話ししました。私たちの体の細胞は、1万年前から変わっていないことがわかっています。1万年前とは、裸当然の姿で野山を駆け回っていた祖先の時代です。このときになかったものは、体にとっては認識できない異物ととらえられます。異物は敵とみなされます。活性酸素を発生させる原因となるのです。
現代社会は1万年前になかったものであふれています。食品添加物や薬剤などの化学物質や農薬、大気汚染、タバコのニコチンなどは、1万年前の細胞が知らなかったものです。
現代人が常に浴びている電磁波も、体にとっては異物です。スマートフォンやパソコンなどからは強力な電磁波が発せられていますし、電気や冷蔵庫、電子レンジ、IH機器などからも電磁波は出ています。駅の改札をICカードを使って通るだけでも、相当の電磁波を浴びているのです。
このように高度に発展した文明社会のつくり出したもののほとんどすべてが、体内の活性酸素量を増やす一因になるのです。
体の細胞が活性酸素に攻撃されると、細胞膜の脂質が酸化して、栄養と老廃物の出し入れがスムーズにできなくなり、老朽化します。頭皮の細胞が酸化すれば、髪に十分な栄養を与えられないばかりか、頭皮に老廃物が蓄積していくことになります。
また、細胞核の遺伝子が活性酸素に傷つけられれば、細胞が変異したり、死滅したりします。毛髪をつくり出す毛母細胞や、毛母細胞をつくる毛根幹細胞が活性酸素にたびたび攻撃されて死滅すれば、新しい元気な髪をもはや生み出せません。
薄毛を改善させたいならば、頭皮に活性酸素を発生させるリスクを減らすことも大事です。
私たち現代人は、大量のシャンプーやコンディショナーを使って毎日のように髪を洗います。シャンプーの洗浄成分である界面活性剤や香料、色素は自然界にない化学合成品であり、頭皮につければ活性酸素を発生させる一因になります。
洗髪後、ドライヤーで髪を乾かせば、大量の電磁波を頭皮に浴びせかけることになります。
シャンプーもドライヤーも、髪の毛のために必要なものとみなさんは思っているでしょう。しかし、そうした習慣が薄毛をつくる一因になっていることも知らなければいけません。シャンプー剤については第4章にて詳しくお話しします。
電磁波を浴びると頭皮がさびる
引用:55歳のハゲた私が76歳でフサフサになった理由
この記事で引用した書籍の著者

[経歴]
- 1939年 満州生まれ
- 1965年 東京医科歯科大学医学部卒業
- 1970年 東京大学大学院医学系研究科修了
- 1971年 テキサス大学研究員(微生物学)
- 1972年 順天堂大学医学部助教授(衛生学)
- 1977年 金沢医科大学教授(医動物学)
- 1981年 長崎大学医学部教授(医動物学)
- 1987年 東京医科歯科大学医学部教授(医動物学、国際環境寄生虫病学)
- 2005年 定年退官、名誉教授、人間総合科学大学教授(免疫・アレルギー学)
100冊以上もの書籍を出版している博覧強記の医学博士。専門は寄生虫学と熱帯医学、感染免疫学で、1983年に日本寄生虫学会小泉賞、2000年に日本文化振興会社会文化功労賞および国際文化栄誉賞を受賞するなどの実績を持つ。
著書

当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
ヨムトニック編集部からヒトコト!
私たちがふだん当たり前のものとして受け入れているさまざまな化学物質や電磁波は、人体からしてみれば異物だ、というのは新鮮な視点ですね。考えてみれば、人類が化学物質や電気エネルギーを工業的に活用するようになってから、まだ200年程度しか経っていません。
人類は数百万年にも及ぶ時間の中で環境に適応してきたわけですから、工業製品による物理的、化学的な作用に対して過剰に反応してしまうというのは、納得できる話です。
生活に深く関わるアイテムが多いだけに、極端な対策は難しいですが、こうした事実があるということは、知っておいて損はないでしょう。
今回引用した書籍「55歳のハゲた私が76歳でフサフサになった理由」には、こういった育毛や薄毛に役立つ情報が満載されています。興味を持たれた方は、ぜひ購入してみてくださいね。
この書籍の購入ページへ