髪はどう生まれ変わる?知っておきたい毛の構造とヘアサイクル

髪の毛はどのようにして生えてきて、どのようにして抜けるのか。ヘアサイクル(髪の成長サイクル)についての解説を、書籍「血液学の研究グループが偶然見つけた髪を再び生やす新理論」より抜粋して紹介します。 シャンプーやブラッシング、睡眠時に抜ける毛の平均的な本数などにも触れていますので、抜け毛が気になる方、薄毛対策を始めるべきか悩んでいる方は、ぜひ参考に目を通して見てください。
毛根の構造とヘアサイクルを理解しておこう
抜け毛の真犯人を見つけ出すには、毛根の構造とヘアサイクルを理解しておく必要があります。髪の毛を増やしたいなら、髪の毛のことを知らなければなりません。内科的に薄毛の問題を解決しようと考えるなら、育毛と脱毛の仕組みをしっかり理解しておく必要があります。
まず、毛髪とは何で、どのようにして生えてくるのでしょうか。
毛は、爪と同じように、皮膚の一部です。私たちがいつも触れている毛髪は実は「毛幹」と呼ばれる毛の一部分にすぎません。髪が健康的に成長したり、抜けてしまったりというサイクルは、その一本一本の根元、頭皮の中に埋まっている毛根で起こっていることです。
頭皮内に隠れて見えない部分の髪は、次ページの図のような構造になっています。根っこの部分は、植物の球根のように膨らんでいて(毛球)、その中に「毛母細胞」という毛髪の元となる細胞がたくさん入っています。この毛母細胞が分裂し、増殖することによって毛髪が上へ上へと盛り上がり、毛が伸びていくわけです。植物は先端が成長して伸びますが、毛髪は根元が伸びることによって押し出されて伸びるのです。
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毛母細胞が活発に分裂して髪を成長させるには、栄養が必要です。毛母細胞に栄養を与えるのが、「毛乳頭細胞」です。毛乳頭細胞は毛細血管から送られてくる栄養を受け取り、毛母細胞に送っています。毛母細胞と毛乳頭細胞が正常に機能することは、毛髪の健康維持の条件でありカギとなります。
シャンプーは頭皮を清潔に保つ上で欠かせませんが、日に何度もシャンプーしたところで、毛母細胞が活性化することはありません。問題は、毛の埋まっている根元、頭皮の内部の目には見えない毛根の状態です。もちろん、毛根の機能は体内の状態の影響を大きく受けます。毛髪のトラブルも内科的に治療すべきというのは、このためです。
引用:血液学の研究グループが偶然見つけた髪を再び生やす新理論
正常なヘアサイクルは5~6年
次に、1本の髪の毛の一生を見ていくことにしましょう。
薄毛の人にとって、シャンプーすると指に絡まる抜け毛、あるいは朝起きた時に枕についた抜け毛の多さには、大きなストレスを感じることでしょう。しかし、ある程度の抜け毛自体は生理的なもので、決して異常ではありません。
毛髪は、生え始めてから数年はぐんぐん育っていきますが、その後は成長が止まり、やがて抜けていく運命にあります。抜け落ちた毛根からは新たに元気な毛髪が生えてきて、同じような「毛髪の一生」がくり返されます。頭髪は10万本くらいあり、そのうち毎日50本から100本くらいが抜けていくのは正常です。
毛髪は、次のようなサイクルで発毛と脱毛をくり返しています。
- ▼成長期……抜けたあとの毛根にある毛母細胞から新しい毛髪が誕生し、成長していく時期です。2年から5年くらいはこの成長期が続きます。頭髪の9割方は、成長期にあると言われています。
- ▼退行期……脱毛の準備のために、成長が止まる時期です。毛根は収縮して、毛母細胞の分裂はほとんどなくなり、毛は伸びなくなります。成長期のあとの2~3週間がこの退行期になります。頭髪全体の1%程度です。
- ▼休止期……2~3週間の退行期のあとは、毛根の毛母細胞の分裂が完全に止まる休止期になります。成長は終わり、抜け落ちるのを待っている状態です。長くとも3カ月くらいのあいだには、シャンプーやブラッシングなどによって抜けていきます。頭髪全体の10%くらいは、この休止期にあります。
- ▼発毛準備、そして発毛……抜けてしまったからといって、落胆する必要はありません。抜け落ちた毛根では、新しい毛母細胞が誕生し、新たな成長をくり返す準備が始まっています。やがて毛根から新しい毛が発生して、次の成長期が始まるのです。
引用:血液学の研究グループが偶然見つけた髪を再び生やす新理論
この記事で引用した書籍の著者
[経歴]
- 1978年 熊本大学医学部卒業
- 1982年 熊本大学大学院医学研究科修了(医学博士)
- 1988年 熊本大学医学部助手(臨床検査医学講座)
- 1991年 日本学術振興会特定国派遣研究員としてウィーン大学医学部へ留学
- 1992年 熊本大学医学部講師
- 1996年 熊本大学医学部助教授
- 2005年 名古屋市立大学医学部医学研究科教授
- 2012年 名古屋Kクリニックを開院
血液学を研究する中でカプサイシンが持つ育毛効果を発見。それを応用して、カプサイシンとイソフラボンによるIGF-1育毛理論を確立し、独自性の高い薄毛治療を実践している。
著書

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ヨムトニック編集部からヒトコト!
この解説で編集部スタッフが注目したのは、薄毛対策には内科的な治療が必要、という箇所。育毛剤や育毛シャンプー、頭皮マッサージ等、頭皮から薄毛にアプローチする方法は無数にありますが、身体の内側に目を向けた対策方法というのは、多くありません。栄養補給のためのサプリメントや、厚労省が認可している育毛薬くらいでしょうか。
ヘアサイクルは生活習慣の大きく受けます。睡眠不足やストレスで頭皮の血行はかんたんに悪くなりますし、偏った食生活で髪の材料となる栄養が不足すれば、毛は細くなっていきます。
薄毛対策を考える時は、外からのアプローチと合わせて、身体の内側にもしっかり目を向けていきたいところです。
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