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医師・専門家からのアドバイス

医師が語る!女性の抜け毛・薄毛の原因とは

書籍「最強!の毛髪再生医療」の表紙

ここ最近、若い世代で薄毛に悩む人が増えています。しかもそれは、男性に限った話ではありません。今回は、書籍「最強!の毛髪再生医療 - 豊かな髪と再び出会える本」より、女性の薄毛の原因について言及されている個所をピックアップして紹介します。

現代女性に薄毛が増えてきた理由とは?

 最近、若くして薄毛に悩む女性が非常に増えています。

 女性の薄毛の大半は、これまで述べてきた男性型脱毛症(いわゆるAGA=Androgenetic Alopecia)と同じ作用で発症するもので、「FAGA(=Female Androgenetic Alopecia)」と呼ばれます。男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素の働きでDHTに変わり、このDHTが毛乳頭にある受容体と結合して、髪の成長を抑制してしまうのです。

「え、女性なのに男性ホルモンが?」

 そう疑問に思われるかもしれませんが、女性にも男性ホルモンは存在し、年を取るにつれて男性ホルモンが優位になっていきます。そのため、おばあちゃんにヒゲが生えてくることも起こるわけです。

 とはいえ、女性は多量の男性ホルモンを分泌する睾丸を持っていないため、女性の血中の男性ホルモンの量は男性の20分の1程度です。しかも、女性はDHTレセプター遺伝子を持っていないため、男のように完全に髪の毛が抜けてしまうようなことはほとんどありません。

 女性の薄毛は、主に4つのタイプがあります。

女性型脱毛(FAGA)

 更年期や閉経(へいけい)後に女性ホルモンが減少することにより生じる薄毛の症状で、頭皮全体の髪が薄くなります。

出産後脱毛

 妊娠中は女性ホルモンが大量に分泌されますが、出産後には分泌量は妊娠前に戻ってしまいます。その反動で急に抜け毛が増えるのです。

 一時的な場合が多いのですが、人によってはかなり薄くなってしまい、なかなか元に戻らない場合もあります。頭髪が全体的に薄毛になります。

 後で詳しく述べますが、特にこの出産後脱毛の場合、女性ホルモンのバランスを整える漢方薬内服やプラセンタ注射が有効です。

粃糠(ひこう)性脱毛

 毛穴から出る皮脂が原因で、頭皮に炎症を起こす脂漏性(しろうせい)湿疹に起因する脱毛です。皮膚に常在する真菌(しんきん)であるマラセチアが原因になることがあります。

円形脱毛症

 円形に単発、または多発する脱毛症で、さらに全頭にわたり脱毛することもあります。髪の毛どころか、まゆ毛や体毛まで抜けてしまうことさえあります。

 これはストレスが原因とも言われています。そのため、ストレス緩和効果のある漢方薬やプラセンタ注射が有効です。

 これらの脱毛症に対する対処法として、一般的に皮膚科では「ストレスをためるな」と指導されます。というのも、ストレスを受けると血管が縮小し、毛根に栄養が届きにくくなるためです。

 ところで、こんなことを言うと世の女性からお叱りを受けるかもしれませんが、今の女性は、果たして昔の女性より強いストレスを受けていると言えるでしょうか?

 昔は男尊女卑の社会で、今よりもっと女性はしいたげられていました。

 私の祖母は、風呂や食事のために火をおこしてたきぎをくべ、川や井戸の水で洗濯をするなど重労働で休む暇もなく、自分が自由になる時間はほとんどなかったと言っていました。始終お姑さんに気を遣い、さらに戦時中は食べ物もなかったことから、「今は天国だ」と、いつもありがたがっていたほどです。

 また、祖母の時代は今より明らかに栄養バランスは悪かったはずです。毛髪の主成分は硬ケラチンというタンパク質ですから、良質のタンパク質と、髪の新陳代謝を促すビタミン、ミネラルなど、栄養バランスの良い食事をれなければ、髪の毛は豊かになることはありません。

 もちろん社会環境の変化により、現代女性の多くがストレスを抱えていることもわかっていますが、私が言いたいのは、祖母や母の世代でも女性は強いストレスの中で生きてきた、ということです。

 ではなぜ、現代のほうが女性の薄毛が増えているのでしょうか?

 私は、それは毎日のヘアケアに関わる「洗髪」の習慣にも問題があると考えています。

 本来、人間はシャンプーなどしなくてもいい生き物です。シャンプーのない江戸時代の女性の髪はフサフサでした。また、野生動物はシャンプーなどせず、泥だらけになっていますが、毛はフサフサです。シャンプーで頭皮の汚れは落ちても、シャンプーには毒性のある化学物質が含まれていることがあるので要注意です。このことは、後に詳しく述べることにしましょう。

 それから、私の個人的な感想としては、最近の女性には非常に冷え症の方が多い印象を持っています。実際、子どものしもやけも昔に比べて本当に多くなっています。

 昔と違い、現代人は赤ちゃんの頃から冷暖房が完備された環境で過ごすのが当たり前となり、体温調整能力が発達してないことが一因とも言われています。

 しかし、冷えを改善する漢方薬を服用してもらうと、薄毛にも効果を発揮します。そのことからも〝冷え症〟が薄毛の一因でもあると、私は考えています。

多岐にわたる脱毛症とその治療法

 薄毛で皆さんを一番多く悩ませているのがAGAとFAGAです。10年ほど前まで、日本のみならず世界中でも、まったく有効な治療法はありませんでした。

 しかし、今や次々に治療法が確立されています。つまり、薄毛は治療できる時代になりつつあるのです。

 具体的な話をする前に、AGAとFAGA以外の脱毛症と、その治療法について述べることとしましょう。

円形脱毛症

 硬貨サイズで円形に脱毛する単発型、脱毛部が多発する多発型、多発がさらに進行し脱毛部が帯状に蛇行したりする多発融合型、ほとんどの髪が抜けてしまう全頭型、さらに眉毛、体毛まで抜けてしまう汎発(はんぱつ)型に分類されます。

 AGAは、成長期が短いため、毛髪が育ち切らないうちに休止期になってしまうことから髪が細く腰のないものになり、さらに産毛状態になって薄くなっていきます(休止期脱毛)。

 一方、円形脱毛症は、自分を守っているはずの免疫機能が、自らの髪を攻撃破壊して生じるものです。そのため、成長期にある十分育った髪が抜けていきます(成長期脱毛)。

 この原因ははっきりわかっていないのですが、ストレスによる自律神経バランスの崩れが原因のひとつと指摘されています。

 実際、保険適用の漢方薬で自律神経バランスを整えると改善することが多いのは事実です。しかし、多発融合型、全頭型、汎発型は難治性の場合も少なくありません。

炎症性脱毛症

 頭皮が炎症を起こし続けることから発症する脱毛症です。炎症には、カラーリング剤やパーマ、トニックや育毛剤、シャンプー、リンスなどの強い薬剤によるかぶれから生じる「接触性皮膚炎」や、毛穴の皮脂に真菌というカビの一種が作用して生じる物質によって頭皮に炎症が起こる「脂漏性皮膚炎」などがあります。

 接触性皮膚炎は、髪が当たる耳や首にまで炎症が波及していたら、さらにその可能性は高くなります。原因となるものをやめるか、シャンプー、リンスをしっかりすすぎ落とすことで治りますが、難治性の場合はステロイド剤を外用します。

 脂漏性皮膚炎は、真菌が付着していたら、真菌を殺す薬を外用します。

栄養障害性脱毛症

 髪は90%がケラチンというタンパク質でできていますから、過度なダイエットなどにより、タンパク質はもちろん、アミノ酸、ビタミン、亜鉛、鉄、ケイ素、ビタミンなどが不足してしまうと脱毛する恐れがあります。

 バランス良く、しっかり栄養を摂ればほぼ治ります。

薬剤性脱毛症

 抗がん剤による脱毛はよく知られていますが、さまざまな薬剤が脱毛の原因になることもあります。

 私自身、研修医の頃に「チガソン」という皮膚病治療薬をある女性に飲んでいただいたところ、急激な脱毛が生じてしまい、それまで経験がなかったためにあたふたしてしまったという苦い出来事がありました。

 薬剤を中止すれば回復しますので、心当たりがある方は主治医に相談してください。

外傷性脱毛症

 髪を強く引っ張ったり、長く圧迫したりして生じる脱毛症です。

 髪を強く後ろに引っ張る日本髪の女性にはしばしばあったようです。特に、女性で強く後ろに引っ張り髪を束ねるのは危険です。

 これまで述べたAGAやFAGA以外の脱毛症は、皮膚科の保険治療や生活習慣の改善で解決する場合が多いので、あまり悲観する必要はありません。

 このように、薄毛や脱毛には多くの種類があり、治療法も多岐にわたることはおわかりいただけたと思います。

 そして、すでにお気づきかもしれませんが、薄毛、脱毛など「髪の毛」に関する治療は皮膚科で受けることが可能なのです。

 新しいシャンプーの購入や、頭皮エステなどに高額な費用をかけている方も多くいらっしゃいますが、まずは保険の有効範囲内でお近くの皮膚科医で症状や治療について相談してみてはいかがでしょうか。

 繰り返しますが、今の時代、薄毛は医療で改善できるのですから。

ヨムトニック編集部からヒトコト!

ヘアケアやダイエットなど、美容のために行っている習慣が、逆に薄毛の原因になってしまうこともあるのですね。ただ、女性の薄毛の原因は千差万別。心当たりもなく急激に抜け毛が増えたら、まずお医者さんに相談されてみることをおすすめします。

本書、「最強!の毛髪再生医療 - 豊かな髪と再び出会える本」には、このような薄毛改善の参考になる情報が満載です。興味を持たれた方は、ぜひ購入して読んでみてくださいね。

この記事で引用した書籍の著者
荒浪暁彦

[経歴]

  • 皮膚科医・漢方医・美容皮膚科医
  • 日本皮膚科学会認定専門医
  • 慶應義塾大学漢方医学センター非常勤講師
  • 浜松医科大学漢方医学講座非常勤講師
  • 日本医療毛髪再生研究会所属
  • 日本抗加齢美容医療学会員

静岡と千葉に美容クリニックを展開。西洋医療と漢方を用いた東洋医療をミックスし、他院にないユニークな治療を実践している。漢方を用いた皮膚病治療を広めるため、日本各地で医師向けの講演会を実施するほか、美容関連書籍も執筆するなど、精力的に活動している。

公式サイト:http://www.bihada-clinic.com

著書

書籍「最強!の毛髪再生医療」の表紙

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